区分
経営体制全体
農業生産工程段階
全般
品目
共通
分野
農場経営管理
取組事項
本ガイドラインに沿った農場の管理を実施するため、農場のルールの決定、ルールに基づく運営、実施状況の確認、必要に応じた見直しを実施。
解説
農場を持続可能にするためには、本ガイドラインの項目を実践し、農場運営の方針を実現するための組織体制、仕組みやルールづくりを行うことが必要です。
GAP に取り組む農場では、本ガイドラインに準じて、農場運営の方針の策定 → 組織体制の整備 → 農場のルールづくり → ルールの実践 → 実行の記録 → ルール、記録とその効果の検証 → 組織体制/農場ルールの見直し・・・のサイクルを繰り返すことで、より良い農場、つまり農場運営の方針に近づくことができます。
このサイクルこそ、組織=農場のマネジメントシステムです。
方針を達成するため計画(Plan)を立て、実践(Do)し、結果を検証(Check)して、次の活用のために改善(Act)する(=PDCA サイクル)活動です。
このような手法は、ISO 9000(品質マネジメントシステム)や ISO 22000(食品安全マネジメントシステム)などで取り入れられており、GAP においてもこの仕組みが備えられています。
計画(Plan)に相当するのが手順書(農場のルール)であり、手順書に従い作業を実施・記録(Do)し、自己点検・内部監査で記録を検証(Check)した上で、不適合の是正・改善(Act)を図ります。
こうした活動を通じ、農場のルール、農場の管理体制を整備・確立し、持続可能な農場経営を実現します。
なお、農林水産省では、農業経営の法人化、事業計画の作成、規模拡大など経営上の課題に対する経営相談の支援を行っており、都道府県段階に「農業経営支援センター(令和3年度までは「農業経営相談所」)」を整備しているので、農業経営の改善に活用してください。
具体例と想定される対策
番号
4-1
【具体例】
曖昧なルールにより様々な事故や品質のばらつきが発生。
【想定される対策】
分かりやすい作業手順書を作成する。
作業手順を周知する。
手順通り作業しているか点検する。
番号
4-2
【具体例】
残留農薬基準に違反する農産物を出荷。
【想定される対策】
農薬使用基準を遵守した農薬使用計画を策定する。
農薬使用計画の実践のための指示、命令系統を構築する。
イレギュラー時の対応方法を策定する。
計画を周知する。
計画の実践、実行を検証する。
番号
4-3
【具体例】
食品衛生法違反による、食品安全に疑いのある農産物を出荷。
【想定される対策】
病原性微生物を付着させないための手洗い、増殖させないための冷蔵保管等を農場のルールとして定める。
硬質異物を混入させないため農場内への持込み制限、出荷検品等の手順を定める。
手順通り実践したことを記録する。
番号
4-4
【具体例】
食品表示法に係る確認漏れにより、不適切な表示をして出荷。
【想定される対策】
食品表示法及び食品表示基準の確認方法を定める。
確認したことを記録する。
番号
4-5
【具体例】
廃棄物の処分方法を定めていないため、不適切な処分が発生。
【想定される対策】
廃棄物の種類を分け、種類ごとに適切な処分方法を確認し、処分方法等をルール化する。
番号
4-6
【具体例】
作業条件のルールが定められておらず、作業者に体調不良が発生。
【想定される対策】
作業環境や労働時間等を定める。
作業環境、条件を記録する。
番号
4-7
【具体例】
機械の操作方法を定めていないため、未熟な作業者が操作し、労働災害が発生。
【想定される対策】
機械、設備の操作方法等を定める。
作業者への教育、訓練を実施する。
点検、操作の実施を記録する。
番号
4-8
【具体例】
抜本的に改善が必要なルールを放置し、同種の事故が発生。
【想定される対策】
各業務範囲における責任者を定め報告体制を構築する。
自己点検結果やクレーム・食品事故の発生の有無、労働災害・怪我の発生の有無などを確認し、改善事項を決定し実行する。
改善に必要な投資を決定する。