区分
経営資源
農業生産工程段階
栽培
品目
穀物
分野
食品安全
取組事項
生産する農産物のカドミウム濃度が基準値を超える可能性のある地域では、その基準値を遵守できるよう、生産される農産物のカドミウム濃度に応じた低減対策の実施。それ以外の地域においても、食品安全上のリスクをできるだけ減らすため低減対策を実施。
解説
カドミウムは、食品を通じて長期間をかけて人の体内に徐々に蓄積し、その結果として蓄積がある量を超えると健康に悪影響を及ぼす可能性がある重金属です。
日本国内には、過去の鉱山開発等の結果として、農地土壌中のカドミウム濃度が高い地域があり、カドミウム濃度の高い米やその他の農産物が生産される可能性があります。
米については、自治体等の情報や自主検査の結果により、自らの栽培ほ場がカドミウム濃度が高いコメが生産される可能性がある地域にある場合には、農林水産省が策定した「コメ中のカドミウム低減のための実施指針」(農林水産省消費・安全局/平成30年1月改訂版)に基づいてカドミウムの低減対策を行います。
カドミウムの吸収を抑制する対策として、以下のような取組があります。
・カドミウム低吸収性イネの利用
・潅水管理を中心とする吸収抑制対策
・客土
なお、わが国では玄米及び精米に「食品衛生法」に基づくカドミウム濃度の基準値が定められています。
生産した米が法令に適合していることを確認・証明するとともに、対策の効果を検証するため、必要に応じて、自主検査を実施します。
また、国際的にはコーデックス委員会により、精米、小麦、その他の穀類、豆類、各種の野菜類にもカドミウム濃度の最大基準値が定められています。
特に、輸出する又は輸出される可能性がある農産物の生産にあたっては、必要に応じて自主検査を実
施し、コーデックス基準や輸出先国の基準に適合していることを確認するとともに、合理的に利用可能な低減技術が存在する場合には、できる限り農産物中のカドミウム濃度を低減する対策に取り組みます。
大豆については国が作成した低減マニュアルが利用可能です。
各自治体や農業者団体が、地域の実態に合わせたマニュアル等を作成している場合もありますので、地域の普及指導員や農業者団体の営農指導員の助言を受けつつ、農産物のカドミウム対策に取り組みます。
具体例と想定される対策
番号
31-1
【具体例】
米が土壌中のカドミウムを吸収し、食品衛生法のカドミウムの基準値を超過。
【想定される対策】
農林水産省の指針に基づいて、米中カドミウムの低減対策を実施する。
カドミウム低吸収性イネの利用、湛水管理を中心とする吸収抑制対策を検討・実施する。
土壌中のカドミウム濃度が高く、米のカドミウム濃度を十分に下げることができない場合は、客土を検討する。
必要に応じて、出荷前検査を実施する。
番号
31-2
【具体例】
輸出した農産物が、輸出先国の基準値を超過し、輸出事業者からのクレームが発生。
【想定される対策】
・自らの生産した農産物が輸出される可能性があるのかどうかを確認する。
・輸出されることが予め判明している場合には、輸出先国の基準値に適合した農産物となるよう栽培管理を行う。
・輸出先国の基準に適合していることを自主検査で確認する。
・輸出にあたっての責任体制や費用負担等について、販売先や輸出事業者と予め取り決めを行う。