国際水準GAP【穀物】

このエリアの内容は、農林水産省「国際水準GAPガイドライン」を引用しています。

下記URLに掲載されています。
国際水準GAPガイドライン:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/gap_guidelines/index.html

区分

リスク管理

農業生産工程段階

全般

品目

共通

分野

労働安全

取組事項

農場の基本情報に基づき、労働安全に関する危害要因を特定してリスク評価を実施し、リスクが高いと評価した事項についてリスクを低減・排除する対策を実施するための農場のルールの設定及びこれに基づく対策の実施、検証、見直しを実施。

解説

事業主や家族従事者、雇用している作業者が作業中に事故にあえば、経営に深刻なダメージを与えます。
死亡や重傷事故が発生すれば、場合によっては、廃業せざるを得ない事態になりかねません。
農作業事故の発生を防ぐためには、営農上に潜む危害要因(危険な場所・作業・もの・状態)や、危害の程度を把握し、それを踏まえた改善策を講じることが重要です。
日頃から作業手順、作業環境等についてチェックを行い、作業方法の見直しや危険箇所の明示又は改善を行っていく必要があります。
農場に被雇用者がいる場合、使用者(事業主=農場経営者)には「労働安全衛生法」により労働者に対して労働災害を防止する義務があります。
「労働安全衛生法」は被雇用者のいない家族経営には適用されませんが、被雇用者のいる農場同様に自身、家族の安全を守るための活動を行うことが、農場を継続するために必要です。
具体的な取組の流れは以下のようになります。
① ほ場地図など農場の基本情報を確認しながら農場内の危険な作業・危険な箇所、危険な機械・器具、危険物を抽出
② 過去の事故事例や農場内の事故経験などを参考に、労働災害の起こりやすさ及び健康に対する悪影響の程度を考慮した労働安全に関する危害要因のリスク評価の実施
③ リスク評価に基づき、リスクが高いと評価された労働安全に関する危害要因を除去又は低減するための対策(農場のルール)を設定
④ 農場のルールの実施
⑤ 農場のルールの実施により労働安全に関する危害要因を除去又は低減できているか検証を実施、適切に除去又は低減できていない場合には②からやり直し
⑥ ほ場・施設・機械の変更、工程の変更等が発生した場合は②からやり直しまたリスクを低減するための対策は、以下の 3 つを念頭に組み合せて立てます。
・事故が発生する確率を下げる。
・発生しても被害の範囲や影響度を小さくする。
・被害を補償、補塡、修繕する。(リスクが小さい場合、もしくは大きすぎて自らの管理を超える場合に導入される)
農作業事故の減少に向けて、農作業安全のリスク管理に取り組むことが求められます。
<具体的な取組事例>
・ 作業手順、作業環境や危険箇所についてチェックを行い、作業方法の見直しや作業現場の改善、危険箇所の表示等を関係者で情報共有しておく。
・ ほ場は、出入口について傾斜を緩く、幅を広くする。耕作道の曲がり角は隅切りにし、路肩や側溝はわかりやすくするために草刈りを行い、路肩が軟弱な場合は補強を行う。
・ 自ら所有していないほ場や公共の道路等のために改善できない場合は、危険箇所等に関する情報を従事者だけではなく広く関係者と共有する。
・ 危険性の高い作業を行う場合は、作業者の負担軽減や危険な状況を知らせる補助者を配置する等、一人で作業を行わないようにする。
・ やむを得ず一人で作業を行う場合には、作業内容や作業場所を家族等に伝えておく、携帯電話を必ず所持する等、事故が発生した際の早期発見のために必要な措置を行う。
・ 作業委託を行う場合は、受託者に対して危険箇所や注意事項等について事前に説明し、事故防止に努める。
・ 事故が発生する可能性が高いと感じた「ヒヤリ・ハット」事例や軽微な事故事例は、危害要因を把握し、対策を講じることができる貴重な情報である。原因を分析し、迅速に必要な対策を講じることで再発防止や未然防止に役立てることができる。また、これらを他の従事者と共有する。

具体例と想定される対策

番号

9-1

【具体例】

トラクター等を傾斜地や段差のある危険な場所で使用し、転倒事故が発生。

【想定される対策】

十分な技量を持った者にのみ操作を許可する。
事故が起こりやすい危険な場所を事前に把握する。
物理的な障壁を設ける等、転落防止措置を講じる。

番号

9-2

【具体例】

耕運機の操作ミスによる挟み込まれ事故が発生。

【想定される対策】

十分な技量を持った者にのみ操作を許可。
作業前に操作方法を再確認する。
危険な作業を禁止する。
安全装置付き耕運機を導入する。

番号

9-3

【具体例】

ほ場での一人作業の際に事故があり、発見が遅れ重傷化。

【想定される対策】

全員がどこで、何をしているか把握する方法を決め、戻り時間を決める。
連絡方法と時間を決め、連絡がつかない場合の対処方法を決める。

番号

9-4

【具体例】

高温時に連続して作業を続けたため、熱中症が発生。

【想定される対策】

作業を中止する温度、湿度を決める。
時間を決めて強制的に休憩を取り、水分や塩分を摂取する。

番号

9-5

【具体例】

風邪等での薬の服用によって眠気を催した作業者が機械操作でミスし、事故が発生。

【想定される対策】

体調不良の者は配置換え、作業制限を行う。
服薬した場合の措置等を定める。
体調等の記録を作成する。

番号

9-6

【具体例】

長時間作業により体力・集中力が低下し操作ミスにより事故が発生。

【想定される対策】

作業時間のルールを定める。
機械操作時間の上限設定、交代要員の確保、適宜交代、適宜休憩を実施する。

番号

9-7

【具体例】

農産物や廃棄物の運搬時に、積載可能重量を超過した状態で公道を走行し、交通事故が発生。

【想定される対策】

積載可能重量を把握し、周知する。
過積載走行を禁止する。

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