取組事項
堆肥製造に関し、適切な期間・温度の発酵維持による雑草種子、有害微生物の殺滅対策等の実施及び適正な堆肥の施用。
解説
発酵が不十分な堆肥には、病原微生物や雑草種子が残存している可能性がありま
す。
そのまま使用すると、農作物の生育障害などの被害や病原性微生物による汚染、有毒植物の種子の混入など、食品安全上の問題が発生するリスクが高まります。 原料の家畜糞や製造途中の堆肥と、完成した堆肥との接触があれば、完成した堆肥の病原性微生物の汚染リスクも高まりますので、しっかり区分します。
未熟な堆肥や原料は食品安全上、大きなリスクだと理解しましょう。
堆肥の製造や保管に際しては、原料や未熟堆肥が飛散しないように被覆する、飛散防止用の囲いをする、発酵の途中で汚水が流れ出ないように溝を切る、集水桝を設けるなどして、環境汚染を起こさないように管理します。
切り返しに際しては、臭いにより近隣住民に迷惑をかけないように、注意しましょう。
保管方法については、番号 65 も参照します。
堆肥の施用に際しては、未熟な堆肥を施用すると、病原性微生物や分解されていない抗生物質、外来雑草の種子を環境中に放出することにもなり、環境破壊のリスクも高まります。
十分な温度で、長期間発酵させた堆肥を使用しましょう。
また、堆肥原料中の除草剤成分(クロピラリド)により農作物の生育障害が発生する事例もあることから、堆肥原料に関する情報を確認しましょう。
具体例と想定される対策
番号
61-1
【具体例】
堆肥中の病原性微生物や雑草種子により、作物の収量の減少や病原微生物による農産物の汚染が発。
【想定される対策】
自ら堆肥を製造する場合、十分に発酵させるため、
・副資材の利用等により、水分を調整する。
・定期的な切返し(目安:1 か月ごと 1 回で計3 回以上)等により、全体に空気を入れる。
製造時(目安:堆積 2 週間後)の堆積物の内部温度を測定し、
・雑草種子の死滅のために 60℃以上が数日間続いていること
・病原微生物の死滅のために 55℃以上が 3 日間以上続いていること
を確認するよう努める。
十分に堆肥化したか、色や臭い、手触りを確認する。
他者から入手した堆肥を使う場合は入手元に、上記の対策の行われた十分に発酵した堆肥であることを確認するよう努め、色や臭い、手触りについては自分でも確認する。
上記の対策の行われた十分に発酵した堆肥であることが確認できない場合は、衛生管理の観点から、施用から収穫まで 2 か月(土が付
き得る野菜は 4 か月)以上空けるよう努める。
番号
61-2
【具体例】
堆肥中の除草剤成分(クロピラリド)により、生育障害が発生
【想定される対策】
堆肥原料に関する情報(家畜の種類や輸入飼料を給与しているか等)を確認する。
クロピラリド感受性作物を用いた生物検定を実施するなど、生育障害が発生する可能性がないことを確認した上で施用する。
特に、クロピラリドによる生育障害が発生しやすい作物をポットや施設で栽培する場合は、生育障害を未然に防ぐ取組を実施する。
区分
Ⅵ栽培管理
農業生産工程段階
土づくり
品目
共通
分野
食品安全
環境保全
農場経営管理