区分
栽培管理
農業生産工程段階
計画
品目
共通
分野
食品安全
取組事項
使用する予定の農薬の情報をまとめ、使用基準違反を防ぐ農薬使用計画を策定。
解説
農薬を使用する際には、「農薬取締法」に基づく登録を受けたもの、かつ、有効期限内のものを使用する必要があります。
食品の安全を守り、周辺環境に配慮して農薬を適正に使用するため、まず、農場で使用する予定の農薬のリストを作成します。
その際、都道府県の「防除指針」、普及指導センターや JA の防除暦などを参考にします。
リストに記載する際に、その農薬には農林水産省の登録番号があることを確認します。
続いて、農薬取締法に定められた「使用基準違反」にならないように、リストを整備します。
農薬のラベルに表示されている農薬名(剤型含む)、適用病害虫名、使用回数(本剤の使用回数、含有する有効成分の種類ごとの総使用回数)、使用時期(収
穫前日数)、使用量、希釈倍数、使用方法などを確認しリストに記載していきます。
間違いがないか、複数回チェックしましょう。
農薬は、含有する有効成分の種類ごとに使用できる総使用回数が定められているので、総使用回数が超えていないことを確認しましょう。
また、対象病害虫によって希釈倍数が異なることもありますので、何のために使用するのか、しっかり記載しましょう。
同じ農薬を何回も続けて使用すると、病害虫において、その農薬に対する耐性・抵抗性が生じる可能性が高まります。
そこで、作用機構などを調べ、同じ系統の農薬を連用することがないように、農薬のリストを工夫します(RAC コード、系統名等を参照)。
農薬は、製剤ごとに適用作物が異なり、農産物によって残留農薬基準も異なります。
後に作付けする作物のことも考慮して農薬を選択できるようにしましょう。
具体例と想定される対策
番号
52-1
【具体例】
無登録農薬の使用による農薬取締法違反が発生。
【想定される対策】
農薬リストを作成する。
リスト掲載農薬のみを使用する。
使用前に必ず農薬登録番号を確認する。
番号
52-2
【具体例】
農薬の使用回数、使用時期、使用量、希釈倍数の間違いにより、残留農薬基準違反が発生。
【想定される対策】
農薬リストを作成する。
リストに記載した方法で農薬を使用する。
使用前に必ずラベルの記載事項を確認する。
番号
52-3
【具体例】
農薬に対する病害虫の耐性・抵抗性が発生。
【想定される対策】
同系統の農薬を連続して使わない(ローテーション)。
IPM を実践する。
番号
52-4
【具体例】
前作使用農薬により、後作の農産物に残留農薬基準違反が発生。
【想定される対策】
後作にも適用のある農薬を選択する。
前作終了後、後作作付けまで十分な期間を開ける。
番号
52-5
【具体例】
国内出荷分は問題なかったものの、輸出先国で残留農薬基準違反が発生。
【想定される対策】
輸出先国の残留農薬基準値を調べ、基準違反発生のリスクを極力低減させた農薬使用計画を策定する。
輸出先国の基準に適合していることを自主検査で確認する。
SDGsへの貢献
(17の目標、169のターゲット)
2.4 生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象減少、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。(即ち持続可能な農業を促進する。)

3.9 有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。(即ちすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。)

12.4 合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への枠組みを最小化するため、化学物質や廃棄物大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。(即ち持続可能な生産消費形態を確保する。)

栽培管理
信頼できる供給元からの適正な手段による種苗の入手、育苗の管理及び種苗の調達に関する記録の保管。
農業における健全な種苗(種子、苗、種菌)の入手、育成は経営上、重要な工程です。 種苗の入手・育苗を管理、記録し、見直せるようにすることが大切です。 また、育苗品種を指定して育苗を外部委託している場合に… 「続きを読む」
隣接ほ場からの農薬ドリフトの影響の回避。
農薬の工程管理を検討する上で、自らのほ場・農産物に対し、周辺で使用される農薬からの影響があるか、ドリフトの危険性について調べます。 ドリフトの影響が懸念される場合には、周辺の農薬使用者とコミュニケーシ… 「続きを読む」
病害虫・雑草の対応(IPMにおける「予防」、「判断」、「防除」)
IPM とは、Integrated Pest Management の略称であり、「総合的病害虫・雑草管理」などと訳します。 IPM は、 ①病害虫・雑草が発生しにくい生産条件の整備(IPM の「予防… 「続きを読む」
使用する予定の農薬の情報をまとめ、使用基準違反を防ぐ農薬使用計画を策定。
農薬を使用する際には、「農薬取締法」に基づく登録を受けたもの、かつ、有効期限内のものを使用する必要があります。 食品の安全を守り、周辺環境に配慮して農薬を適正に使用するため、まず、農場で使用する予定の… 「続きを読む」
農薬使用計画に基づき、適正に農薬を使用するとともに、使用前に使用濃度や散布方法など、適正な使用方法の再確認を実施。
農薬を使用する際には、農薬ラベルに適用作物、使用回数、使用量、希釈倍数、収穫前日数、使用上の注意事項や被害防止方法等が記載されていますので、必ず確認しましょう。 「農薬取締法」では、容器又は包装にある… 「続きを読む」
農薬は、周辺環境を汚染しない場所で必要な量だけ調製し、使用した計量機器等の洗浄を適切に実施。
散布作業前に、防除の準備を整えます。 まず、防除器具等が適切に動作するか、事前に確認し、詰まりや前回使用した農薬が残っていないか点検します。 次に、農薬の調製時は最も濃度が高い、原液に接触する危険があ… 「続きを読む」
農薬散布時における周辺作物・周辺住民等への影響の回避。
農薬散布時に、隣接するほ場等の作物に農薬がかかると、作物の生長に悪影響が出たり、残留農薬基準値の超過の原因になったりする可能性があります。 また、周辺の民家等へ農薬が飛散してしまうと周辺住民に健康被害… 「続きを読む」
農薬の容器等の表示内容を確認し、表示に基づく安全な作業を行うための装備を整え、調製、防除、片付け作業を行い、防除衣、保護装備等を適切に洗浄、乾燥し、他への汚染がないように保管。
農薬によっては、農薬散布液を吸引したり、皮膚に付着したりすると健康被害が発生する恐れがあります。 したがって、農薬容器又は包装にあるラベルの表示内容を確認し、表示内容に基づく安全に作業を行うための服装… 「続きを読む」
農薬使用前に防除器具を点検し、使用後に適切に残液を処理、十分に洗浄し、洗浄排液を処理。
防除作業の前には、防除に使用する機械・器具を点検します。正常に稼働するか、通水できるか、撹拌機に故障はないか、試運転を行います。 防除機械・器具が正常に稼働しないと、計算値より濃度が高くなったり、飛散… 「続きを読む」
農薬の使用記録の作成・保存。
農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成 15 年農林水産省・環境省令第 5 号)では、農薬使用者は、農薬を使用した時は、次に掲げる事項を帳簿に記載するように努めなければならないと定めていま… 「続きを読む」