取組事項
きのこ類の原木、菌床資材等、種菌の安全性の確認と適切な管理。
解説
きのこ栽培に使用する資材が重金属や病原性微生物、化学物質、放射性物質で汚染されていると、きのこの汚染、きのこの生育不良につながります。
そのため資材の購入、受入段階で安全性を確認することが重要です。
きのこの性質上、特に培地に重金属や放射性物質が含まれていると、これを吸収し、子実体に濃縮、蓄積することがあります。
培地等の安全性の確認を確実にし、さらに保管や取扱いの際に汚染を防ぐ衛生的な管理が求められます。
これらを防ぐ具体的な取組方法として、以下があります。
・基材、添加物等の菌床製造用の材料は、採取地、樹種、採取後の処理、組成成分や配合、使用方法等が明らかなものを受け入れる。
・おが粉、チップ等は、カビ等が生えないように排水を良くし、飛散防止や飛来物による汚染を防止する措置を講じて保管する。
・添加物は、品質に変化を起こさせないように、指定の保管条件等を遵守し、高温多湿に注意して保管する。
・種菌は速やかに使用する。
・種菌を保管する場合は適切な温度、湿度等を維持し、汚染防止策(未開封等)を講じる。
・栽培用の容器等を再利用する場合は、適切に洗浄又は殺菌・消毒する。
・栽培等に使用する資材は、病原性微生物の汚染や、異物混入を防ぐため、清掃や殺菌・消毒をする。
・栽培用や浸水、浸漬等に使用する容器を、農薬等の希釈など、他の目的に使用しない。
・消毒剤はきのこ栽培に影響のないものを選択する。
こうした取組を通じ、安全なきのこを生産できるよう管理します。
具体例と想定される対策
番号
72-1
【具体例】
培地が放射性物質を含んでおり、きのこの子実体に濃縮されて放射性物質の基準超過が発生。
【想定される対策】
基材、培地の採取先、採取地を確認する。
基材、培地保管場所への関係者以外の立入制限の措置を講じる。
定期的な培地等の放射性物質の残留検査を実施又は検査データを入手する。
培地に散水する水の放射性物質含有量を調査、確認する。
番号
72-2
【具体例】
栽培容器が化学物質に汚染され、きのこに交差汚染が発生。
【想定される対策】
保管場所を定期的に清掃する。
栽培容器等の洗浄に使用する洗剤等の安全性を確認する。
消毒液等の適正な濃度を維持する。
使用する薬剤に殺虫剤等の成分が含まれていないか確認する。
番号
72-3
【具体例】
植菌工程の作業者が感染症に罹ったまま作業し、きのこに感染症微生物の汚染が発生。
【想定される対策】
作業者の体調チェックを実施する。
作業者から飛沫が付着しないように措置(マスク着用)する。
作業者が直接きのこに接触しないように措置(手袋着用、専用衣類)する。
作業者の定期的な検便を実施し、保菌者の作業を制限する。
区分
Ⅶ専用項目
農業生産工程段階
栽培
品目
きのこ
分野
食品安全