区分
栽培管理
農業生産工程段階
土づくり
品目
共通
分野
環境保全
取組事項
土壌診断の結果を踏まえた肥料の適正な施用や、都道府県の施肥基準や JA の栽培暦等で示している施肥量、施肥方法等に則した施肥計画を立て、計画に基づく施肥の実施。
解説
農産物は、施用された肥料成分の全ては利用できないため、肥料成分の一部が環境中に溶脱、流亡又は揮散します。
このため、過剰な肥料成分量を投入すると、環境汚染(地下水汚染、塩類集積、一酸化二窒素発生等)のリスクが高まります。
一方、肥料成分の不足により生育不良が発生するリスクもあります。
このような環境汚染のリスクを下げるため、土壌診断等により土壌状態を把握し、その結果に基づいて施肥設計を行います。
【作物特性や土壌データの把握】
・ 作物の生育状況、前作の収量等の把握
・ ほ場の土壌診断(土壌の EC、pH 等の簡易測定を含む)の実施
・ 都道府県の施肥基準や JA の栽培暦等の施肥量、施肥方法等を参考に、地域での作物や品種に応じた必要養分量等の作物特性を把握
【施肥設計】
また、適切な土壌管理には、現状を把握することが欠かせません。土壌診断や作物診断等を実施し、作物特性やデータに基づいた適正な施肥に努めましょう。
具体例と想定される対策
番号
63-1
【具体例】
肥料成分の不足による生育不良が発生。
【想定される対策】
土壌診断により不足した成分を把握する。
診断の結果を活用し、都道府県の施肥基準を参考に適切な施肥設計を行う。
番号
63-2
【具体例】
肥料分の過剰による病害虫・雑草が発生。
【想定される対策】
土壌診断により過剰な成分を把握する。
診断の結果を活用し、都道府県の施肥基準を参考に適切な施肥設計を行う。
ほ場の様子を観察し、病害虫、雑草の発生状況から過剰成分を把握する。
番号
63-3
【具体例】
肥料分の過剰による水質汚染が発生。
【想定される対策】
土壌診断により過剰な成分を把握する。
診断の結果を活用し、都道府県の施肥基準を参考に施肥設計を行う。
都道府県の施肥基準を遵守する。
番号
63-4
【具体例】
肥料分の過剰による土壌の酸性化が進行。
【想定される対策】
土壌診断により土壌の酸性化の度合いを把握する。
診断の結果を活用し、土壌改良等を行う。
都道府県の施肥基準を遵守する。
SDGsへの貢献
(17の目標、169のターゲット)
2.4 生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象減少、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。(即ち持続可能な農業を促進する。)

3.9 有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。(即ちすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。)

12.4 合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への枠組みを最小化するため、化学物質や廃棄物大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。(即ち持続可能な生産消費形態を確保する。)

栽培管理
信頼できる供給元からの適正な手段による種苗の入手、育苗の管理及び種苗の調達に関する記録の保管。
農業における健全な種苗(種子、苗、種菌)の入手、育成は経営上、重要な工程です。 種苗の入手・育苗を管理、記録し、見直せるようにすることが大切です。 また、育苗品種を指定して育苗を外部委託している場合に… 「続きを読む」
隣接ほ場からの農薬ドリフトの影響の回避。
農薬の工程管理を検討する上で、自らのほ場・農産物に対し、周辺で使用される農薬からの影響があるか、ドリフトの危険性について調べます。 ドリフトの影響が懸念される場合には、周辺の農薬使用者とコミュニケーシ… 「続きを読む」
病害虫・雑草の対応(IPMにおける「予防」、「判断」、「防除」)
IPM とは、Integrated Pest Management の略称であり、「総合的病害虫・雑草管理」などと訳します。 IPM は、 ①病害虫・雑草が発生しにくい生産条件の整備(IPM の「予防… 「続きを読む」
使用する予定の農薬の情報をまとめ、使用基準違反を防ぐ農薬使用計画を策定。
農薬を使用する際には、「農薬取締法」に基づく登録を受けたもの、かつ、有効期限内のものを使用する必要があります。 食品の安全を守り、周辺環境に配慮して農薬を適正に使用するため、まず、農場で使用する予定の… 「続きを読む」
農薬使用計画に基づき、適正に農薬を使用するとともに、使用前に使用濃度や散布方法など、適正な使用方法の再確認を実施。
農薬を使用する際には、農薬ラベルに適用作物、使用回数、使用量、希釈倍数、収穫前日数、使用上の注意事項や被害防止方法等が記載されていますので、必ず確認しましょう。 「農薬取締法」では、容器又は包装にある… 「続きを読む」
農薬は、周辺環境を汚染しない場所で必要な量だけ調製し、使用した計量機器等の洗浄を適切に実施。
散布作業前に、防除の準備を整えます。 まず、防除器具等が適切に動作するか、事前に確認し、詰まりや前回使用した農薬が残っていないか点検します。 次に、農薬の調製時は最も濃度が高い、原液に接触する危険があ… 「続きを読む」
農薬散布時における周辺作物・周辺住民等への影響の回避。
農薬散布時に、隣接するほ場等の作物に農薬がかかると、作物の生長に悪影響が出たり、残留農薬基準値の超過の原因になったりする可能性があります。 また、周辺の民家等へ農薬が飛散してしまうと周辺住民に健康被害… 「続きを読む」
農薬の容器等の表示内容を確認し、表示に基づく安全な作業を行うための装備を整え、調製、防除、片付け作業を行い、防除衣、保護装備等を適切に洗浄、乾燥し、他への汚染がないように保管。
農薬によっては、農薬散布液を吸引したり、皮膚に付着したりすると健康被害が発生する恐れがあります。 したがって、農薬容器又は包装にあるラベルの表示内容を確認し、表示内容に基づく安全に作業を行うための服装… 「続きを読む」
農薬使用前に防除器具を点検し、使用後に適切に残液を処理、十分に洗浄し、洗浄排液を処理。
防除作業の前には、防除に使用する機械・器具を点検します。正常に稼働するか、通水できるか、撹拌機に故障はないか、試運転を行います。 防除機械・器具が正常に稼働しないと、計算値より濃度が高くなったり、飛散… 「続きを読む」
農薬の使用記録の作成・保存。
農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成 15 年農林水産省・環境省令第 5 号)では、農薬使用者は、農薬を使用した時は、次に掲げる事項を帳簿に記載するように努めなければならないと定めていま… 「続きを読む」