取組事項
りんごにおけるかび毒(パツリン)汚染の防止・低減対策の実施。
解説
りんご果汁は、かび毒の一種であるパツリンによって汚染される可能性の高い食品として知られています。
原因はりんごを長期保存している際に、パツリンを生成する土壌菌(ペニシリウム属及びアスペルギルス属の一部のかび)が繁殖し、りんご果実中にパツリンが蓄積するためです。
そのため、厚生労働省は、りんごジュースや原料用りんご果汁にパツリンの規格基準を設けています。
このパツリンによる汚染のリスクを低減するため、生産から出荷までの各段階で、りんごにパツリンを生成する土壌菌の付着を防ぎ、パツリン汚染の防止を徹底します。
特にりんご果汁の原料として出荷するりんごは、果実表面の傷口から菌が侵入しやすいので、以下のような対策を実施します。
・土がついた手で収穫・運搬しない。
・収穫用コンテナ等は清潔な水で洗浄して泥や汚れを落とす。
・収穫用コンテナは地面に直置きせず、シート等の上に置く。
・風雹害や落下等により傷がついた果実は、健全な果実とは分けて管理し、長期保管、貯蔵しない。
・果実に傷が付かないよう収穫から出荷まで丁寧に取り扱う。
・貯蔵中に菌を増殖させないように、できるだけ低い温度で果実を保管する。
こうした取組を実施するとともに、出荷の際に傷みがないか、腐敗果が混ざっていないか、確認します。
洪水等によって汚水を含む泥水をかぶったりんごは、洗うことで外見上は問題がないように見えても、保管中のかび毒汚染や、病原性微生物等による汚染の可能性があるので、青果用だけでなく、加工用としての出荷も控えます。
具体例と想定される対策
番号
78-1
【具体例】
りんごの傷口にかびが繁殖し、パツリン汚染が発生。
【想定される対策】
りんごや収穫容器を衛生的に取り扱う。
落下した果実を確実に分別する。
番号
78-2
【具体例】
収穫時に落下した果実が混在したまま保管したため、パツリン汚染が発生。
【想定される対策】
落下した果実を確実に分別する。
傷のある果実は廃棄する。
保管中は定期的に検品し、腐敗果を除去、廃棄する。
区分
Ⅶ専用項目
農業生産工程段階
全般
品目
果樹(りんご)
分野
食品安全