取組事項
農薬の容器等の表示内容を確認し、表示に基づく安全な作業を行うための装備を整え、調製、防除、片付け作業を行い、防除衣、保護装備等を適切に洗浄、乾燥し、他への汚染がないように保管。
解説
農薬によっては、農薬散布液を吸引したり、皮膚に付着したりすると健康被害が発生する恐れがあります。
したがって、農薬容器又は包装にあるラベルの表示内容を確認し、表示内容に基づく安全に作業を行うための服装(防除衣)やマスク、ゴーグル等の保護具を正しく着用します。
農薬リストを作成し、希釈倍数や使用回数等の情報だけでなく、必要な防除衣・保護具を農薬ごとに明記しておくとわかりやすく、間違いを防ぐことができます。
農薬調製は農薬の原液を取り扱うので、より注意が必要になります。そのため防除衣・保護具は農薬の調製時(保管庫から取り出す作業を含む)から着用します。
指定された性能を有していないマスクを着用すると、保護効果がありません。
農薬ラベルの表示内容に基づき、適切なマスクを選択します。
また、破れた保護具や使用期間が過ぎた農薬マスクのフィルターは十分な保護効果が期待できません。
散布した農薬の接触・吸引を防ぐためには防除衣・保護具の着用だけでなく、ラベルの指示がある場合は、農薬使用後の立入を禁止・制限したり、散布した農薬が乾くまでほ場への立入を禁止したりするなどの対策を取ります。
農薬散布に使用した防除衣や保護具を洗浄する場合、いったん着衣、装着したまま、水で洗い流します。それから保護具を外し、防除衣を脱ぎ、改めて流水で洗浄します。
一般の洗濯物と一緒に洗濯すると、農薬成分が他の洗濯物に付着してしまうため、分けて洗濯します。
農薬保管庫内に保護具を保管すると、保護具に農薬成分が付着し、フィルターの効果がなくなる可能性があります。
洗浄した防除衣・保護具だとしても農産物に接触すると、交差汚染を起こし、農産物に農薬成分が付着する可能性があります。
そのため、防除衣や保護具は農薬保管庫に入れず、専用のロッカー等を用意します。
具体例と想定される対策
番号
56-1
【具体例】
準備作業時に必要な保護装備を着用せず、原液に接触し皮膚に炎症が発生。
【想定される対策】
農薬の準備、調製作業時にラベルを確認し、相応しい装備を着用する。
農薬をこぼさないように作業手順を明示する。
農薬の調製作業を熟知した人が当たる。
番号
56-2
【具体例】
農薬成分の吸引により健康被害が発生。
【想定される対策】
表示内容に基づき、防除衣や保護具を着用する。
準備から片付けまで、農薬関連作業中は保護装備を着用する。
作業者に保護装備の着用について周知徹底する。
番号
56-3
【具体例】
防じんマスクを使用したため、十分な保護効果が得られず、くん蒸成分を吸引する事故が発生。
【想定される対策】
表示内容に基づき、適切な防護マスクを着用する。
作業者に、使用する農薬に適したマスクを選択することを教育す。
番号
56-4
【具体例】
破れた保護具を使用したため、農薬成分が浸透し、皮膚に障害が発生。
【想定される対策】
傷んだ防除衣や保護具をすぐに交換する。
番号
56-5
【具体例】
一般の洗濯物と一緒に洗濯したため、農薬が一般の洗濯物に付着し、二次汚染が発生。
【想定される対策】
一般の洗濯物と分けて防除衣を洗濯する。
番号
56-6
【具体例】
農薬保管庫内に、防除衣、保護具を一緒に保管したため、農薬が防除衣等に付着し、二次汚染が発生。
【想定される対策】
農薬保管庫に防除衣、保護具を保管しない。
番号
56-7
【具体例】
防除衣、保護具を農産物取扱施設に保管し、農産物に農薬が付着する事故が発生。
【想定される対策】
防除衣、保護具の保管場所に農産物を持ち込まない。
農産物を取り扱う場所に防除衣、保護具を持ち込まない。
番号
56-8
【具体例】
防除後に農薬で濡れた状態で防除衣を脱ぎ、中の着衣に付着、農産物を間接的に汚染する事故が発生。
【想定される対策】
防除後に防除衣を着たまま流水洗浄してから、脱衣する。
防除後の後片付けの手順を定め、明示する。
区分
Ⅵ栽培管理
農業生産工程段階
栽培
品目
共通
分野
労働安全