栽培管理【4】(52)

取組事項

使用する予定の農薬の情報をまとめ、使用基準違反を防ぐ農薬使用計画を策定。

解説

農薬を使用する際には、「農薬取締法」に基づく登録を受けたもの、かつ、有効期限内のものを使用する必要があります。
食品の安全を守り、周辺環境に配慮して農薬を適正に使用するため、まず、農場で使用する予定の農薬のリストを作成します。
その際、都道府県の「防除指針」、普及指導センターや JA の防除暦などを参考にします。
リストに記載する際に、その農薬には農林水産省の登録番号があることを確認します。
続いて、農薬取締法に定められた「使用基準違反」にならないように、リストを整備します。
農薬のラベルに表示されている農薬名(剤型含む)、適用病害虫名、使用回数(本剤の使用回数、含有する有効成分の種類ごとの総使用回数)、使用時期(収
穫前日数)、使用量、希釈倍数、使用方法などを確認しリストに記載していきます。
間違いがないか、複数回チェックしましょう。
農薬は、含有する有効成分の種類ごとに使用できる総使用回数が定められているので、総使用回数が超えていないことを確認しましょう。
また、対象病害虫によって希釈倍数が異なることもありますので、何のために使用するのか、しっかり記載しましょう。
同じ農薬を何回も続けて使用すると、病害虫において、その農薬に対する耐性・抵抗性が生じる可能性が高まります。
そこで、作用機構などを調べ、同じ系統の農薬を連用することがないように、農薬のリストを工夫します(RAC コード、系統名等を参照)。
農薬は、製剤ごとに適用作物が異なり、農産物によって残留農薬基準も異なります。
後に作付けする作物のことも考慮して農薬を選択できるようにしましょう。

具体例と想定される対策

番号

52-1

【具体例】

無登録農薬の使用による農薬取締法違反が発生。

【想定される対策】

農薬リストを作成する。
リスト掲載農薬のみを使用する。
使用前に必ず農薬登録番号を確認する。

番号

52-2

【具体例】

農薬の使用回数、使用時期、使用量、希釈倍数の間違いにより、残留農薬基準違反が発生。

【想定される対策】

農薬リストを作成する。
リストに記載した方法で農薬を使用する。
使用前に必ずラベルの記載事項を確認する。

番号

52-3

【具体例】

農薬に対する病害虫の耐性・抵抗性が発生。

【想定される対策】

同系統の農薬を連続して使わない(ローテーション)。
IPM を実践する。

番号

52-4

【具体例】

前作使用農薬により、後作の農産物に残留農薬基準違反が発生。

【想定される対策】

後作にも適用のある農薬を選択する。
前作終了後、後作作付けまで十分な期間を開ける。

番号

52-5

【具体例】

国内出荷分は問題なかったものの、輸出先国で残留農薬基準違反が発生。

【想定される対策】

輸出先国の残留農薬基準値を調べ、基準違反発生のリスクを極力低減させた農薬使用計画を策定する。
輸出先国の基準に適合していることを自主検査で確認する。

区分

Ⅵ栽培管理

農業生産工程段階

計画

品目

共通

分野

食品安全

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