区分
リスク管理
農業生産工程段階
全般
品目
共通
分野
環境保全
番号
10
取組事項
農場の基本情報に基づき、環境に負荷を与える要因を特定してリスク評価を実施し、リスクが高いと評価した事項について、リスクを低減・排除する対策を実施するための農場のルールの設定及びこれに基づく対策の実施、検証、見直しを実施。
解説
農業は土や水など地域の自然環境を活用して行う産業です。環境を汚染してしまうと安全な土や水を確保することができなくなる恐れがあり、持続的な農業経営が困難になりかねません。
自らの農業活動が環境に対してどのような影響を及ぼすのかを評価し、環境保全に努めます。
また、自然環境だけでなく、地域社会との共生といった社会的な環境についても配慮します。
例えば、水の利用について水源の汚染を防ぐだけでなく、水利のルールを守る、地域の清掃活動に参加するなど、地域社会と良好な関係を築きます。
周辺の方々と良好なコミュニケーションをとりましょう。
具体的な取組の流れは下記のようになります。
① 農場の基本情報を確認し、周辺の環境や使用する資源を把握
② 環境汚染の起こりやすさ及び環境に対する悪影響の厳しさ※を考慮したリスク評価の実施
③ リスク評価に基づき、リスクが高いと評価された環境に負荷を与える要因を除去又は低減するための対策(農場のルール:施肥計画、廃棄物の処分方法等)を設定
④ 農場のルールの実施
⑤ 農場のルールの実施により環境負荷要因を除去又は低減できているか検証を実施、適切に除去又は低減できていない場合には②からやり直し
⑥ ほ場・施設・機械の変更、工程の変更等が発生した場合は②からやり直し
※ 「環境に対する悪影響の厳しさ」とは、取り返しがつかない、自然の回復力・復元力では修正できない、浄化能力を超えるなど、地域や水質、土壌汚染、地球環境に与える影響で判断します。
また、リスクを低減するための対策は以下の 3 つを念頭に組み合せて立てましょう。
・事故が発生する確率を下げる。
・発生しても被害の範囲や重大性を小さくする。
・被害を補償、補塡、修繕する。(リスクが小さい場合、もしくは大きすぎて自らの管理を超える場合に導入される)
近年、世界規模での気候変動が取り沙汰され、我が国でも自然災害が多発しています。
自然災害による被害、環境影響を受けやすい農業だからこそ、自らの農場が環境破壊、汚染源とならない取組が大切です。
番号 28、32、40、41、42、44 等と合わせ、環境保全に努めましょう。
番号28⇒堆肥等の有機物等の活用等による土づくり等を通じた適正な土壌管理の実施。
番号32⇒ほ場及び農産物取扱施設で発生した排水(排水中の栄養成分を含む)やそれに含まれる植物残渣、廃棄物等の適切な管理。
番号40⇒食品安全(農産物への接触防止等)、環境保全(環境への流出防止等)、労働安全(火災防止等)に配慮した燃料類の保管の実施。
番号42⇒農場から出る廃棄物を把握し、適切に分別・管理して処分するとともに、作物残渣等の有機物のリサイクルに取り組むなど廃棄物の削減を実施。
具体例と想定される対策
番号
10-1
【具体例】
過剰な施肥で肥料成分が流亡し、水源汚染が発生。
【想定される対策】
土壌診断を実施する。
自治体等の指針を入手する。
土壌診断結果等に基づき、適切に施肥設計を立案する。
施肥設計を遵守する。
番号
10-2
【具体例】
被覆資材の不適切な処分による、大気汚染と土壌への残留・残痕が発生。
【想定される対策】
劣化した肥料袋など、プラスチック類の放置、野焼きを行わない。
廃プラスチック回収を適切に行う。
中長期展張フィルム等による長期利用。
生分解性マルチの利用。
SDGsへの貢献
(17の目標、169のターゲット)
2.4 生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象減少、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。(即ち持続可能な農業を促進する。)
12.4 合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への枠組みを最小化するため、化学物質や廃棄物大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。(即ち持続可能な生産消費形態を確保する。)
12.5 廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。(即ち持続可能な生産消費形態を確保する。)
12.8 人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。(即ち持続可能な生産消費形態を確保する。)
国際水準GAP
食料・農業・農村基本計画(令和2年3月閣議決定)に掲げる「令和12年までにほぼ全ての産地で国際⽔準GAPを実施」の実現
このページの内容は、農林水産省「国際水準GAPガイドライン」を引用しています。
下記URLに掲載されています。
国際水準GAPガイドライン:農林水産省⇒https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/gap_guidelines/index.html
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