区分
経営資源
農業生産工程段階
全般
品目
共通
分野
食品安全
環境保全
番号
42
取組事項
農場から出る廃棄物を把握し、適切に分別・管理して処分するとともに、作物残渣等の有機物のリサイクルに取り組むなど廃棄物の削減を実施。
解説
1.廃棄物の適正な処理
農業生産活動に伴い発生する廃棄物については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和 45 年法律第 137 号)に基づき、産業廃棄物や事業系一般廃棄物として、法に従い適正な処理を行うことが農業者に義務づけられています。
特に、法令で規定されている産業廃棄物(使用済みプラスチック類や農薬、金属類、廃油等)は、マニフェスト(産業廃棄物管理票)制度により、農業者は適正処理の最後まで確認する必要があります。マニフェスト制度とは、農業者が産業廃棄物の処理を行う際に、マニフェスト(管理票)に産業廃棄物の種類、数量、運搬業者名、処分業者名などを記入し、収集・運搬業者から処分業者へマニフェストを渡し、農業者は、各業者から運搬・処理終了を記載したマニフェストを受け取ることで、委託内容どおりに産業廃棄物処理が行われたことを確認する仕組みです。
2.廃棄物の一時保管の徹底
廃棄物は、処分するまで適切に一時保管し、処理しないと、農産物の汚染原因になります。
また、有害生物の侵入や発生が起こった場合、食品安全上のリスクにもなります。
特に農薬の空容器の取り扱いでは、農薬成分が付着することを防ぐため、農産物等と接触しない場所に一時保管する等の対策を講じましょう。
他の廃棄物も、一時保管する場所を決め、他の資材との接触を防ぎ、散乱しないように管理しましょう。
廃棄物の把握、減量及びリサイクル、処分まで分別して一時保管を徹底し、農場の衛生状態を良好に保ちましょう。
3.廃棄物の削減の取組
農業は、事業活動であり、排出される廃棄物の削減に努める必要があります。
まず、農場から出る廃棄物を把握し、廃棄物自体を削減する方法を検討します。続いて、それでも発生する残渣等については、リサイクルを検討します。
作物残渣(未利用有機物)はそのまま捨てれば廃棄物ですが、有機物資源として有効活用もできます。
作物残渣を有効に活用するため、土づくりのためにすき込む、堆肥の原料とする
などに取り組みましょう。
作物残渣等の有機物のリサイクルの実施に関し、「環境と調和のとれた農業生産活動規範点検活動の手引き」に取組例を示しています。
<取組例>
・作物残渣等の有機物は、ほ場に残すと病害虫がまん延する場合などを除き、ほ場に還元して土づくりに利用
・堆肥の原料、家畜の飼料、畜舎の敷料等の用途への仕向け 等
その他、ダンボール等の古紙の再生利用、金属廃棄物の回収業の活用等、可能な限り、廃棄物を減らす工夫とリサイクルの努力によって、農場から排出される廃棄物を減量しましょう。
4.使用済みプラスチック類の排出削減やリサイクル率向上の取組海洋プラスチック問題、国際的な有害廃棄物の移動制約等、環境汚染を契機としたプラスチックの資源循環が求められています。農業分野においてもプラスチック資材の効率的利用とともに、使用量又は排出量の削減に取り組むため、以下の取組を検討しましょう。
また、使用済みプラスチックの再生利用と熱回収を併せたリサイクル率を高めるために、産業廃棄物として排出する際は農業者においても乾燥・分別と異物除去に努めましょう。
・中長期展張フィルム等の導入により長期利用を実施
・生分解性マルチ等の生分解性資材や、非プラスチック系資材の導入
・慣行的にプラスチック被覆肥料を使用している場合、プラスチックを使用していない肥料への代替などの削減対策の実施
特に、慣行的にプラスチック被覆肥料を使用している場合は、被覆殻がほ場排水などにより意図せず河川等の環境に排出される可能性があることから、例えば、以下のような取組を実施しプラスチック被覆殻の流出防止に努めましょう。
・浅水代かきや、代かき・田植え前の水位調節を自然落水で実施
・排水口に網を設置する等の被覆殻の流出防止・削減対策の実施
具体例と想定される対策
番号
42-1
【具体例】
廃棄物の増加により環境汚染が発生。
【想定される対策】
リサイクルに取り組む。
長持ちする資材を選択する。
資材を可能な限り再利用する。
番号
42-2
【具体例】
作物残渣の不法投棄により水質汚染が発生。
【想定される対策】
作物残渣と資材の残渣の分別を徹底する。
自治体に相談し、適切に処分す。
SDGsへの貢献
(17の目標、169のターゲット)
2.4 生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象減少、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。(即ち持続可能な農業を促進する。)
9.4 資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。(即ち強靭なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る。)
12.4 合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への枠組みを最小化するため、化学物質や廃棄物大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。(即ち持続可能な生産消費形態を確保する。)
12.5 廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。(即ち持続可能な生産消費形態を確保する。)
14.1 海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。(即ち持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全する。)
国際水準GAP
食料・農業・農村基本計画(令和2年3月閣議決定)に掲げる「令和12年までにほぼ全ての産地で国際⽔準GAPを実施」の実現
このページの内容は、農林水産省「国際水準GAPガイドライン」を引用しています。
下記URLに掲載されています。
国際水準GAPガイドライン:農林水産省⇒https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/gap_guidelines/index.html