区分
栽培管理
農業生産工程段階
苗づくり・定植
品目
共通
分野
食品安全
取組事項
信頼できる供給元からの適正な手段による種苗の入手、育苗の管理及び種苗の調達に関する記録の保管。
解説
農業における健全な種苗(種子、苗、種菌)の入手、育成は経営上、重要な工程です。
種苗の入手・育苗を管理、記録し、見直せるようにすることが大切です。
また、育苗品種を指定して育苗を外部委託している場合には、番号 12 に従って管理を実施します。
種苗は、外観によって品種、発芽率などの品質や生産地の識別が困難なため、販売する場合は一定の事項の表示が義務付けられています。
指定種苗として定められた植物の種苗が表示義務の対象です。
農林水産大臣が指定種苗として定めているのが、穀類、豆類、いも類、野菜、きのこ類などの食用となる作物及び飼料作物の全て、花き、果樹、芝草などの一部の植物です。
これらの種苗には、品種、生産地、採種年月(又は有効期限)、数量、農薬の使用履歴、種苗業者の名称、発芽率が表示されているので、記載事項を参考に、適切な種苗を入手し、記録します。
特に農業生産の安定を図るため、種苗の健全性が収穫に大きく影響を及ぼす作物(馬鈴薯等)については、国が指定種苗として指定し、検疫を行っています。
指定種苗は、植物防疫官が毎年栽培中に病害虫の検査を行い、この検査に合格しないと種苗として移動することができません。
対象品目(馬鈴薯等)を購入する時は検査合格証票を確認します。
自家増殖した種苗については、どのほ場で採取されたものか(複数ほ場からの選抜も可)を記録します。
入手した種苗をほ場に定植するまで育苗した場合は、その育苗記録を作成します。
育苗した場所・施設名、品目・品種、播種量、培土の配合、施肥内容、定植日、種苗生産に際し農薬を使用した場合は、番号 58 に従って記録を残します。
※番号12⇒「工程管理の信頼性を確保するための農場のルールに基づく管理を遵守することについての外部委託先との合意。」
※番号58⇒「農薬の使用記録の作成・保存。」
具体例と想定される対策
番号
47-1
【具体例】
表示の確認を怠り、農薬の使用回数を超過する使用基準違反が発生。
【想定される対策】
指定種苗の表示から農薬の使用回数を確認する。
定植後に自ら使用する農薬の使用回数と合わせてカウントする。
番号
47-2
【具体例】
適切な種いもを入手せず、ジャガイモシストセンチュウやそうか病菌が蔓延し、大幅な減収が発生。
【想定される対策】
馬鈴薯の種いも購入時に検査合格証票の有無を確認する。
SDGsへの貢献
(17の目標、169のターゲット)
2.4 生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象減少、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。(即ち持続可能な農業を促進する。)
栽培管理
食品安全(容器移し替え禁止、いたずら防止の施錠等)、環境保全(流出防止対策等)、労働安全(毒劇・危険物表示、通気性の確保等)に配慮した農薬の保管、在庫管理の実施。
農場では、第三者が農薬を持ち出し、悪用することを防がなければなりません。さらに、作業者が保管庫から間違った農薬を取り出して使用することがないよう、誤使用を防ぐことも必要です。 そのため、強固で、十分な… 「続きを読む」
農薬の責任者による農薬適正使用の指示と検証。
農薬取締法において、農薬使用者は、農薬の使用に当たっては、農薬の安全かつ適正な使用に関する知識と理解を深めるように努めることが求められています。しかしながら、十分な知識を持たない作業者により調製の順番… 「続きを読む」
堆肥製造に関し、適切な期間・温度の発酵維持による雑草種子、有害微生物の殺滅対策等の実施及び適正な堆肥の施用。
発酵が不十分な堆肥には、病原微生物や雑草種子が残存している可能性があります。 そのまま使用すると、農作物の生育障害などの被害や病原性微生物による汚染、有毒植物の種子の混入など、食品安全上の問題が発生す… 「続きを読む」
原材料・製造工程の把握による肥料等の安全性、成分の確認と食品安全、環境保全に配慮した肥料等の利用計画の策定。
肥料等(土壌改良の目的でほ場に投入する資材、客土等を含む)の成分の含有量や放射性物質の汚染の状況等が不明のまま使用すると、農産物や環境の汚染、農産物の生育障害につながる可能性があります。 このため、ま… 「続きを読む」
土壌診断の結果を踏まえた肥料の適正な施用や、都道府県の施肥基準や JA の栽培暦等で示している施肥量、施肥方法等に則した施肥計画を立て、計画に基づく施肥の実施。
農産物は、施用された肥料成分の全ては利用できないため、肥料成分の一部が環境中に溶脱、流亡又は揮散します。 このため、過剰な肥料成分量を投入すると、環境汚染(地下水汚染、塩類集積、一酸化二窒素発生等)の… 「続きを読む」
肥料等の使用記録の作成・保存。
肥料の使用状況は、作物の生育状況と比較することにより次作の施肥設計の参考とすることができます。 農産物の品質に問題(生育不良等から生じる、とろけ、腐り、硬化や着花・着果不足等)が生じた際には、使用記録… 「続きを読む」
食品安全(未熟堆肥との接触による交差汚染防止、農産物への接触防止等)、環境保全(環境への流出防止等)、労働安全(崩落・落下、発熱・発火・爆発防止等)に配慮した肥料等の保管、在庫管理の実施。
肥料等(葉面散布剤、堆肥、土壌改良材、微生物資材等も含む)を適切に保管しないと、肥料の固化、劣化が進み、包装が傷んで漏洩する、崩れやすくなる等のリスクが高まります。 その結果、農産物や環境を汚染する危… 「続きを読む」