区分
栽培管理
農業生産工程段階
栽培
品目
共通
分野
食品安全
環境保全
取組事項
農薬使用前に防除器具を点検し、使用後に適切に残液を処理、十分に洗浄し、洗浄排液を処理。
解説
防除作業の前には、防除に使用する機械・器具を点検します。正常に稼働するか、通水できるか、撹拌機に故障はないか、試運転を行います。
防除機械・器具が正常に稼働しないと、計算値より濃度が高くなったり、飛散したり、漏れたり、目標としたところに散布できなかったりと、残留やドリフトのリスクが高まります。
同時に、防除器具は適切に洗浄されているか、目視で確認します。防除器具の洗浄が不十分で中に農薬が残っていると、次に防除器具を使用する作物にその残った農薬がかかってしまい、残留農薬基準違反の原因になる可能性があります。
残った農薬が、別の農産物に使用する農薬に混入することのないよう、以下の点に注意します。
① 農薬の使用前には、防除器具等を点検し、十分に洗浄されているか確認
② 農薬の使用後には、防除器具の薬液タンク、撹拌機、ホース、噴頭、ノズル等、農薬が残る可能性がある箇所に特に注意して、十分に洗浄農薬の残液が発生した場合、残液の不適切な処理は環境汚染や農産物汚染につながる可能性があります。関係法令を遵守し、自治体による指導がある場合には、その指示に従います。
防除器具、防除衣等の保護装備を洗浄した水は、その農薬を散布したほ場に浸透するなど、適切に処理します。排水路や河川等に排水することを避けます。
具体例と想定される対策
番号
57-1
【具体例】
防除器具の吸引ホースのプロペラが回らず、撹拌が不十分だったため、一部の作物に濃度の高い農薬がかかり事故(薬害、残留農薬基準違反)が発生。
【想定される対策】
防除器具が正常に稼働するか、使用前に点検する。
ホースやノズルに詰まりがないか、使用前に通水して点検する。
番号
57-2
【具体例】
防除器具に残った農薬による残留農薬基準違反が発生。
【想定される対策】
使用前に適切に洗浄されているか、防除器具を点検する。
農薬使用後に防除器具を十分に洗浄する。
番号
57-3
【具体例】
農薬残液、洗浄液の排水により、河川に汚染が発生。
【想定される対策】
残液が出ないように調製し、使い切る。
残液、洗浄液を河川に流さない。
残液の処理は関係法令等を遵守し、行政の指示に従う。
SDGsへの貢献
(17の目標、169のターゲット)
2.4 生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象減少、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。(即ち持続可能な農業を促進する。)
6.3 汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物や物質の放出の最小化、未処理の廃水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加により、水質を改善する。(即ち水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。)
6.6 山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。(即ち水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。)
12.4 合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への枠組みを最小化するため、化学物質や廃棄物大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。(即ち持続可能な生産消費形態を確保する。)
14.1 海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。(即ち持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全する。)
栽培管理
信頼できる供給元からの適正な手段による種苗の入手、育苗の管理及び種苗の調達に関する記録の保管。
農業における健全な種苗(種子、苗、種菌)の入手、育成は経営上、重要な工程です。 種苗の入手・育苗を管理、記録し、見直せるようにすることが大切です。 また、育苗品種を指定して育苗を外部委託している場合に… 「続きを読む」
隣接ほ場からの農薬ドリフトの影響の回避。
農薬の工程管理を検討する上で、自らのほ場・農産物に対し、周辺で使用される農薬からの影響があるか、ドリフトの危険性について調べます。 ドリフトの影響が懸念される場合には、周辺の農薬使用者とコミュニケーシ… 「続きを読む」
病害虫・雑草の対応(IPMにおける「予防」、「判断」、「防除」)
IPM とは、Integrated Pest Management の略称であり、「総合的病害虫・雑草管理」などと訳します。 IPM は、 ①病害虫・雑草が発生しにくい生産条件の整備(IPM の「予防… 「続きを読む」
使用する予定の農薬の情報をまとめ、使用基準違反を防ぐ農薬使用計画を策定。
農薬を使用する際には、「農薬取締法」に基づく登録を受けたもの、かつ、有効期限内のものを使用する必要があります。 食品の安全を守り、周辺環境に配慮して農薬を適正に使用するため、まず、農場で使用する予定の… 「続きを読む」
農薬使用計画に基づき、適正に農薬を使用するとともに、使用前に使用濃度や散布方法など、適正な使用方法の再確認を実施。
農薬を使用する際には、農薬ラベルに適用作物、使用回数、使用量、希釈倍数、収穫前日数、使用上の注意事項や被害防止方法等が記載されていますので、必ず確認しましょう。 「農薬取締法」では、容器又は包装にある… 「続きを読む」
農薬は、周辺環境を汚染しない場所で必要な量だけ調製し、使用した計量機器等の洗浄を適切に実施。
散布作業前に、防除の準備を整えます。 まず、防除器具等が適切に動作するか、事前に確認し、詰まりや前回使用した農薬が残っていないか点検します。 次に、農薬の調製時は最も濃度が高い、原液に接触する危険があ… 「続きを読む」
農薬散布時における周辺作物・周辺住民等への影響の回避。
農薬散布時に、隣接するほ場等の作物に農薬がかかると、作物の生長に悪影響が出たり、残留農薬基準値の超過の原因になったりする可能性があります。 また、周辺の民家等へ農薬が飛散してしまうと周辺住民に健康被害… 「続きを読む」
農薬の容器等の表示内容を確認し、表示に基づく安全な作業を行うための装備を整え、調製、防除、片付け作業を行い、防除衣、保護装備等を適切に洗浄、乾燥し、他への汚染がないように保管。
農薬によっては、農薬散布液を吸引したり、皮膚に付着したりすると健康被害が発生する恐れがあります。 したがって、農薬容器又は包装にあるラベルの表示内容を確認し、表示内容に基づく安全に作業を行うための服装… 「続きを読む」
農薬使用前に防除器具を点検し、使用後に適切に残液を処理、十分に洗浄し、洗浄排液を処理。
防除作業の前には、防除に使用する機械・器具を点検します。正常に稼働するか、通水できるか、撹拌機に故障はないか、試運転を行います。 防除機械・器具が正常に稼働しないと、計算値より濃度が高くなったり、飛散… 「続きを読む」
農薬の使用記録の作成・保存。
農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成 15 年農林水産省・環境省令第 5 号)では、農薬使用者は、農薬を使用した時は、次に掲げる事項を帳簿に記載するように努めなければならないと定めていま… 「続きを読む」