区分
経営資源
農業生産工程段階
全般
品目
共通
分野
環境保全
取組事項
ほ場等への鳥獣の接近を制限する取組等による生物多様性に配慮した鳥獣被害防止対策の実施。
解説
生物多様性とは、生物多様性基本法において「様々な生態系が存在すること並びに生物の種間及び種内に様々な差異が存在すること」を意味し、人類もその恩恵を享受しています。
近年の農業の生産効率は化学的な資材や機械化により飛躍的に向上しましたが、一方で環境破壊や環境汚染等により生物多様性を脅かす状況を招いています。
生物多様性について考える場合、まず農場と農場周辺にどのような動植物が生息しているか、希少動植物、在来種、外来種等を認識し、それらにどのような変化があるのかを把握します。
また、日本では鳥獣害対策が重要な地域が増えています。
生態系のバランスを考えたうえで、地域の一員として、どのように環境と生物多様性に貢献できるかを考えて活動します。
一方で、鳥獣による農産物等への被害は深刻な状況です。
農場周辺では「鳥獣による農業水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」に基づき、国が定める基本指針に即して、市町村が被害防止計画を作成し、地域ぐるみで被害防止対策を行う取組を推進しています。
同法では、国及び地方公共団体は生物の多様性の確保等に留意することとされており、国・市町村が定めた指針・計画に即した対策を実施することは生物多様性の確保の点からも重要です。
基本指針においては生産段階の取組として、例えば次の取組を留意すべき事項としています。
(取組例)
・食品残渣の管理の徹底、放任果樹の除去等、鳥獣等を引き寄せない取組の実施
・侵入防止柵の設置
・追い払い活動や追い上げ活動の実施
その他にも、遊休地の草刈等を行って見通しを良くし、ほ場への接近を防きます。
なお、鳥獣を捕獲する際は、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」等の関係法令を遵守することとしています。
在来種に関しては駆除を前提としない鳥獣害防止対策を講じます。
一方で特定外来生物(番号 46 参照)については、自治体と連携して駆除等に努めます。
こうした取組を地域ぐるみで実践し、生物多様性を損なうことなく、鳥獣害防止に努めましょう。
具体例と想定される対策
番号
45-1
【具体例】
イノシシにより、農産物の食害が発生。
【想定される対策】
ほ場と山の間にある雑草が生い茂る耕作放棄地を除草する。
緩衝地帯として見晴らしの良い空き地をつくりイノシシが寄りにくくする。
番号
45-2
【具体例】
鳥獣害防止のために設置した毒餌により、地域の希少動物が駆除される事故が発生。
【想定される対策】
法令を遵守し、有資格者による適切な罠等を設置する。
動物が寄り付かないよう、作物残渣等を適切に処分する。
SDGsへの貢献
(17の目標、169のターゲット)
2.4 生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象減少、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。(即ち持続可能な農業を促進する。)
15.1 国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。(即ち生物多様生の損失を阻止する。)
経営資源
農産物の汚染や事故を防止するため、食品安全・衛生管理、労働安全、環境への配慮に関する入場時のルールを定めて、農場入場者(訪問者を含む)に対して遵守するよう周知。
農産物の安全を脅かす汚染、環境の破壊、労働災害が発生すると、農場自体の経営の存続が危ぶまれます。 汚染や事故は、農場内の作業者だけでなく、外部からの訪問者に起因することもあるので、許可の無い農場への立… 「続きを読む」
ほ場や施設から通える場所での清潔な手洗い設備やトイレ設備の確保等による衛生管理を実施
手洗いのルールを決めても、作業場所から離れたところにしか手洗い施設、設備がなければ、実行するのは困難です。 また、洗浄剤、消毒液などの適切な備品等を準備していなければ、衛生的な手洗いは行えません。 そ… 「続きを読む」
ほ場やその周辺環境(土壌や汚水等)、廃棄物、資材等からの危害要因による土壌の汚染及び土壌中の危害要因に由来する農産物の汚染の可能性に関する評価の実施、評価結果に基づく対策の実施。
土壌(培地含む)は水と並んで栽培工程における重要な資源です。一方で、土壌を通じた食品安全上の危害要因による農産物の汚染も考えられるため、土壌の汚染とそれに由来する農産物の汚染の可能性を評価して必要に応… 「続きを読む」
堆肥等の有機物等の活用等による土づくり等を通じた適正な土壌管理の実施。
農地の土壌は農業生産の基礎であり、地力を増進していくことは農業の生産性を高め、農業経営の安定を図る上で極めて重要です。 また、地力の増進は、地球温暖化の進行等が顕在化する中、気候変動の影響を受けにくい… 「続きを読む」
土壌の侵食を軽減する対策の実施。
土壌は降雨や強風によって侵食を受けるため、放置すれば作物を健全に生育させるための作土層が失われます。 土壌の性質によって侵食を受けやすい場合があるので、必要に応じて、作物を栽培していない時期に被覆作物… 「続きを読む」
使用する水の水源を確認し、水に含まれる危害要因による農産物の安全性に関する評価と、評価結果に基づく対策を実施。
農産物にとって、水は生育に大きな影響を及ぼします。栽培中に使用する水の汚染は生育不良や農産物の汚染の原因にもなります。 また、収穫後に使用する水が汚染されていると、消費者の健康被害に直接つながる可能性… 「続きを読む」
養液栽培の場合、培養液の汚染の防止に必要な対策を実施。
養液栽培を行う場合、培養液自体の汚染は作物の生育不良や作物汚染に直結します。 そのため、培養液の汚染を防ぐ対策として下記のような管理を行います。 ・水供給設備の保守管理、定期的な清掃 ・培養液の頻繁な… 「続きを読む」
ほ場及び農産物取扱施設で発生した排水(排水中の栄養成分を含む)やそれに含まれる植物残渣、廃棄物等の適切な管理。
農場からは様々な排水が出ます。この排水は環境汚染の原因になるだけでなく、自らの生産工程で使用する水の汚染にもつながります。 まずは自らの農場からどのような排水が出ているかを把握します。 機械類の洗浄水… 「続きを読む」
農産物取扱施設・設備の保守管理、点検、整備、清掃等の適切な管理に加え、有害生物(昆虫、小動物、鳥類、かび等)の侵入・発生防止対策、異物、有毒植物等の混入防止対策を実施。
ほ場で農産物を収穫、梱包作業をし、直ちに出荷先に運搬、納品しない場合、ほとんどの農場には農産物取扱施設・設備があります。 農産物を一時的に保管する冷蔵庫、風乾やキュアリングを行う倉庫、トリミングや選別… 「続きを読む」
喫煙・飲食場所の指定、農場内の農産物に共通する工程の確認等により、異物混入やアレルゲンと農産物の交差汚染の防止対策を実施。
喫煙や飲食による農産物への異物混入や汚染を防ぐ必要があります。 喫煙場所の指定や分煙は、労働者の健康保護の観点からも重要です。 農産物取扱施設に食べかすが落ちていると虫や小動物、鳥類を誘引してしまい、… 「続きを読む」
農産物を適切に保管、貯蔵し、調製・出荷作業場、保管・貯蔵施設など全ての農産物取扱施設における衛生管理を実施。
農産物を衛生的に保つためには、作業員に由来する汚染だけでなく、農場内に存在する施設、設備、器具等に由来する汚染も防がなければなりません。 農産物の保管、貯蔵、出荷作業(待機)する場所は、人がいない状態… 「続きを読む」