区分
経営資源
農業生産工程段階
全般
品目
共通
分野
労働安全
取組事項
機械、装置、器具等の適正な使用。
解説
農業機械や器具等を誤った方法で使用すると作業事故を引き起こしかねません。機械等の操作に従事する際には、取扱説明書の確認等を通じて、当該機械等の危険性や適正な使用方法を理解することが重要です。
取扱説明書等により農業機械等の適正な使用方法や注意・禁止事項を確認・整理するとともに、こうした情報を販売店等から積極的に入手し、農業機械等を使用する可能性のある従事者全員に周知します。
特に、農業機械等を初めて使用する時や更新する際に事故が発生しやすいことか
ら、適正な使用方法等を必ず確認し、従事者への周知を徹底する必要があります。
<具体的な取組例>
・農業機械の目的外使用をしない。
・安全装置の無効化や取り外し等の改造をしない。
・緊急時に備えて、機械の動力遮断方法、エンジン停止方法を確認する。
・機械の始動、運転時には、周囲をよく確認し、付近に人を近づけないようにする。
・機械の回部分部の詰まり等を除去する際は、エンジンを停止し、回転部分の停止を確認する。
・歩行型トラクターの後進発進時に、エンジン回転数の減速、進行方向への障害物を確認する。
【農業機械の適切な使用例】
乗用型トラクターを操作する際は、以下に注意し、安全に操作しましょう。
・機械の転倒、転落による事故に備え、安全キャブまたは安全フレームが装備された乗用型トラクターを使用し、必ずシートベルトを着用する。
・機械を始動するときには、前後左右をよく確認し、付近に人を近づけない。
・エンジンの始動は、必ず運転席に座り、変速カバー、PTO 変速レバー、各種操作レバーの位置が中位にあり、駐車ブレーキがかかっていることを確認した上で行う。
・左右独立ブレーキの付いた機械は、移動走行、登降坂、畔越え時、左右のブレーキペダルを連結する。
・急な下り坂において、走行クラッチを切る、変速を中立にするなどの走行は行わない。
・道路走行時は、作業灯を消灯する。
・作業機を着脱する際には、作業機と本機の間や作業機の下に入らない。作業機にスタンド等が付いている場合は、必ずスタンド等を使用して安定させた状態で行う。
・補助作業者を必要とする機械作業では、作業者の体格や体力を考慮して、作業負担が過重とならないよう作業速度等を調整する。
・機械から離れるときには、作業機を下げ、エンジンを止め、駐車ブレーキをかけ、鍵を抜く。
・機械への乗降は、機械を背にして行わない。また、ステップを踏み外さないように注意する。
・必ず運転席に座って運転し、座席や乗車位置以外のところに人を乗せない。補助作業者が乗車する場合は、転落防止ガードやチェーンをかけて作業する。
・運転時、急旋回、急発進、急停止はしない。また、作業中に機械から飛び降りたり、クローラーに足を掛けて乗り降りしたりしない。
・作業機への巻き付き、詰まり等を除去する際には、必ずエンジンを止め、作業部分の停止を確認した上で行うこと。また、油圧式の昇降部を上げている場合、必ず昇降部落下防止装置を作動させておく。
具体例と想定される対策
番号
39-1
【具体例】
道路走行等、乗用型トラクター移動時に左右ブレーキを連結せず、片ブレーキによる急旋回が転落事故を誘発。
【想定される対策】
機械類は使用前に説明書、注意書きをよく読んでから使用する。
作業時以外は左右ブレーキを連結することについて、作業者への教育を徹底する。
片ブレーキ防止装置を搭載したトラクターの導入を検討する。
番号
39-2
【具体例】
点検しやすいようカバーを外して機械を稼働したことにより、巻き込み事故が発生。
【想定される対策】
カバー類や安全装置は取り外したり解除したりしない。
安全装置が外されていないか、機能するか、定期的に点検する。
番号
39-3
【具体例】
狭小区間に侵入するためにトラクターの安全フレームを取り外し、この状態で転落したことで車両の下敷きになる事故が発生。
【想定される対策】
安全フレーム等の安全装置は取り外さない。
また、安全装置が外されていないか、機能するか、定期的に点検する。
適切なサイズの機械・器具を用意し、使用する。
使用する機械に合わせて作業現場を改善する。
SDGsへの貢献
(17の目標、169のターゲット)
2.4 生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象減少、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。(即ち持続可能な農業を促進する。)
3.6 (世界の道路交通事故による)死傷者を半減させる。(すべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。)
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用形態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。(即ち働きがいのある人間らしい雇用を促進する。)
経営資源
農産物の汚染や事故を防止するため、食品安全・衛生管理、労働安全、環境への配慮に関する入場時のルールを定めて、農場入場者(訪問者を含む)に対して遵守するよう周知。
農産物の安全を脅かす汚染、環境の破壊、労働災害が発生すると、農場自体の経営の存続が危ぶまれます。 汚染や事故は、農場内の作業者だけでなく、外部からの訪問者に起因することもあるので、許可の無い農場への立… 「続きを読む」
ほ場や施設から通える場所での清潔な手洗い設備やトイレ設備の確保等による衛生管理を実施
手洗いのルールを決めても、作業場所から離れたところにしか手洗い施設、設備がなければ、実行するのは困難です。 また、洗浄剤、消毒液などの適切な備品等を準備していなければ、衛生的な手洗いは行えません。 そ… 「続きを読む」
ほ場やその周辺環境(土壌や汚水等)、廃棄物、資材等からの危害要因による土壌の汚染及び土壌中の危害要因に由来する農産物の汚染の可能性に関する評価の実施、評価結果に基づく対策の実施。
土壌(培地含む)は水と並んで栽培工程における重要な資源です。一方で、土壌を通じた食品安全上の危害要因による農産物の汚染も考えられるため、土壌の汚染とそれに由来する農産物の汚染の可能性を評価して必要に応… 「続きを読む」
堆肥等の有機物等の活用等による土づくり等を通じた適正な土壌管理の実施。
農地の土壌は農業生産の基礎であり、地力を増進していくことは農業の生産性を高め、農業経営の安定を図る上で極めて重要です。 また、地力の増進は、地球温暖化の進行等が顕在化する中、気候変動の影響を受けにくい… 「続きを読む」
土壌の侵食を軽減する対策の実施。
土壌は降雨や強風によって侵食を受けるため、放置すれば作物を健全に生育させるための作土層が失われます。 土壌の性質によって侵食を受けやすい場合があるので、必要に応じて、作物を栽培していない時期に被覆作物… 「続きを読む」
使用する水の水源を確認し、水に含まれる危害要因による農産物の安全性に関する評価と、評価結果に基づく対策を実施。
農産物にとって、水は生育に大きな影響を及ぼします。栽培中に使用する水の汚染は生育不良や農産物の汚染の原因にもなります。 また、収穫後に使用する水が汚染されていると、消費者の健康被害に直接つながる可能性… 「続きを読む」
養液栽培の場合、培養液の汚染の防止に必要な対策を実施。
養液栽培を行う場合、培養液自体の汚染は作物の生育不良や作物汚染に直結します。 そのため、培養液の汚染を防ぐ対策として下記のような管理を行います。 ・水供給設備の保守管理、定期的な清掃 ・培養液の頻繁な… 「続きを読む」
ほ場及び農産物取扱施設で発生した排水(排水中の栄養成分を含む)やそれに含まれる植物残渣、廃棄物等の適切な管理。
農場からは様々な排水が出ます。この排水は環境汚染の原因になるだけでなく、自らの生産工程で使用する水の汚染にもつながります。 まずは自らの農場からどのような排水が出ているかを把握します。 機械類の洗浄水… 「続きを読む」
農産物取扱施設・設備の保守管理、点検、整備、清掃等の適切な管理に加え、有害生物(昆虫、小動物、鳥類、かび等)の侵入・発生防止対策、異物、有毒植物等の混入防止対策を実施。
ほ場で農産物を収穫、梱包作業をし、直ちに出荷先に運搬、納品しない場合、ほとんどの農場には農産物取扱施設・設備があります。 農産物を一時的に保管する冷蔵庫、風乾やキュアリングを行う倉庫、トリミングや選別… 「続きを読む」
喫煙・飲食場所の指定、農場内の農産物に共通する工程の確認等により、異物混入やアレルゲンと農産物の交差汚染の防止対策を実施。
喫煙や飲食による農産物への異物混入や汚染を防ぐ必要があります。 喫煙場所の指定や分煙は、労働者の健康保護の観点からも重要です。 農産物取扱施設に食べかすが落ちていると虫や小動物、鳥類を誘引してしまい、… 「続きを読む」
農産物を適切に保管、貯蔵し、調製・出荷作業場、保管・貯蔵施設など全ての農産物取扱施設における衛生管理を実施。
農産物を衛生的に保つためには、作業員に由来する汚染だけでなく、農場内に存在する施設、設備、器具等に由来する汚染も防がなければなりません。 農産物の保管、貯蔵、出荷作業(待機)する場所は、人がいない状態… 「続きを読む」