区分
経営資源
農業生産工程段階
全般
品目
共通
分野
食品安全
環境保全
労働安全
取組事項
器具、容器、設備、機械・装置及び運搬車両を把握し、安全装備等の確認、衛生管理、使用前点検、使用後の整備及び適切な管理を実施。
解説
1.農林水産業・食品産業の作業安全のための規範(個別規範:農業)の活用農業現場は、他産業と比べて作業事故の発生率が高い傾向にあります。
農業が継続して発展するためには、若者が未来を託せる安全な職場にしなくてはなりません。
安全意識向上のためには、日々の農作業で安全を意識することが重要です。
農林水産省では、農業者向けに日々留意して実行していただきたい事項を整理した「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範」を策定しています。
この規範は、これらの産業統一の基本的な考え方を整理した「共通規範」と、農業・林業などの分野ごとに具体的な事項を整理した「個別規範」から構成されており、それぞれ「チェックシート」と「解説資料」を整理しています。
例えば、「作業安全のためのルールや手順の遵守」について、
①法令・ルール遵守、
②取扱説明書の確認等、
③服装・保護具等着用、
④健康状態管理など具体的に取り組むべき事項を整理しています。
これらの取組事項についてチェックしながら、農業者が自らの取組の状況を点検することができます。
2.定期メンテナンス、点検記録等の作成農作業に使用する設備、機械・器具類が故障、破損等していると、予定通り農作業を行うことができず経営的な問題が発生するのみならず、農作業中の事故を引き起こす可能性があります。
また、部品の脱落による農産物への金属等の異物混入、オイル漏れ等による環境汚染、収穫物の汚染等による食品衛生・食品安全上の問題にもつながりかねません。
そのため、機械・器具類の使用前又は定期的に行う点検・整備や保管を適切に実施し、不具合を防止することが重要です。
また、一連の管理作業を「農場のルール」として定め、農場全体で習慣化しましょう。
<具体的な取組事例>
・ 機械、装置等を一覧表に書き出し、運転日誌、点検・整備の記録(実施日、内
容等)を作成し、記録に基づき適切に管理することで確認漏れ、整備不良等を防
止する。
・ 機械、装置等の使用前後には、防護カバー等の安全装置を含めて必ず点検を行
い、衛生状態、安全装置、接合部の緩み、オイル漏れがないこと等を確認する。
異常がある場合は調整又は修理をする等の必要な措置を行い、法令上義務となっている事項等、指定された定期交換部品は必ず交換する。
・ 機械の掃除や修理を行う場合には、原則、機械を停止させる。
・ 機械、装置等の使用後は、適切に洗浄、拭取り等して衛生的に管理する。
・ 機械を保管する際は、昇降部を下げてキーを抜く。盗難防止の観点から、機械、装置等を施錠できる倉庫に厳重に保管する等の対策を講じる。
具体例と想定される対策
番号
36-1
【具体例】
トラクターの整備不良による事故、作業の遅れが発生。
【想定される対策】
トラクターなど機械類は整備工場にメンテナンスを依頼、整備伝票を保管。
毎回、使用前点検を行う。
使用後にも部品の脱落、接合部の緩み等がないことを点検する。
自ら点検した内容を記録する。
番号
36-2
【具体例】
貯水タンクの点検漏れによる水の汚染の発生。
【想定される対策】
設備のリストを作成し、点検の時期、内容についてスケジュール管理する。
番号
36-3
【具体例】
機械の使用前点検で異常を確認したものの、部品交換せずに使用し、負傷。
【想定される対策】
機械の異常を確認した場合は、整備するまで使用しない。
番号
36-4
【具体例】
機械の昇降部が急に下がって挟まれ、負傷。
【想定される対策】
機械を保管する際は、昇降部を下げ、キーを抜く。
SDGsへの貢献
(17の目標、169のターゲット)
2.4 生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象減少、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。(即ち持続可能な農業を促進する。)
3.6 (世界の道路交通事故による)死傷者を半減させる。(すべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。)
経営資源
農産物の汚染や事故を防止するため、食品安全・衛生管理、労働安全、環境への配慮に関する入場時のルールを定めて、農場入場者(訪問者を含む)に対して遵守するよう周知。
農産物の安全を脅かす汚染、環境の破壊、労働災害が発生すると、農場自体の経営の存続が危ぶまれます。 汚染や事故は、農場内の作業者だけでなく、外部からの訪問者に起因することもあるので、許可の無い農場への立… 「続きを読む」
ほ場や施設から通える場所での清潔な手洗い設備やトイレ設備の確保等による衛生管理を実施
手洗いのルールを決めても、作業場所から離れたところにしか手洗い施設、設備がなければ、実行するのは困難です。 また、洗浄剤、消毒液などの適切な備品等を準備していなければ、衛生的な手洗いは行えません。 そ… 「続きを読む」
ほ場やその周辺環境(土壌や汚水等)、廃棄物、資材等からの危害要因による土壌の汚染及び土壌中の危害要因に由来する農産物の汚染の可能性に関する評価の実施、評価結果に基づく対策の実施。
土壌(培地含む)は水と並んで栽培工程における重要な資源です。一方で、土壌を通じた食品安全上の危害要因による農産物の汚染も考えられるため、土壌の汚染とそれに由来する農産物の汚染の可能性を評価して必要に応… 「続きを読む」
堆肥等の有機物等の活用等による土づくり等を通じた適正な土壌管理の実施。
農地の土壌は農業生産の基礎であり、地力を増進していくことは農業の生産性を高め、農業経営の安定を図る上で極めて重要です。 また、地力の増進は、地球温暖化の進行等が顕在化する中、気候変動の影響を受けにくい… 「続きを読む」
土壌の侵食を軽減する対策の実施。
土壌は降雨や強風によって侵食を受けるため、放置すれば作物を健全に生育させるための作土層が失われます。 土壌の性質によって侵食を受けやすい場合があるので、必要に応じて、作物を栽培していない時期に被覆作物… 「続きを読む」
使用する水の水源を確認し、水に含まれる危害要因による農産物の安全性に関する評価と、評価結果に基づく対策を実施。
農産物にとって、水は生育に大きな影響を及ぼします。栽培中に使用する水の汚染は生育不良や農産物の汚染の原因にもなります。 また、収穫後に使用する水が汚染されていると、消費者の健康被害に直接つながる可能性… 「続きを読む」
養液栽培の場合、培養液の汚染の防止に必要な対策を実施。
養液栽培を行う場合、培養液自体の汚染は作物の生育不良や作物汚染に直結します。 そのため、培養液の汚染を防ぐ対策として下記のような管理を行います。 ・水供給設備の保守管理、定期的な清掃 ・培養液の頻繁な… 「続きを読む」
ほ場及び農産物取扱施設で発生した排水(排水中の栄養成分を含む)やそれに含まれる植物残渣、廃棄物等の適切な管理。
農場からは様々な排水が出ます。この排水は環境汚染の原因になるだけでなく、自らの生産工程で使用する水の汚染にもつながります。 まずは自らの農場からどのような排水が出ているかを把握します。 機械類の洗浄水… 「続きを読む」
農産物取扱施設・設備の保守管理、点検、整備、清掃等の適切な管理に加え、有害生物(昆虫、小動物、鳥類、かび等)の侵入・発生防止対策、異物、有毒植物等の混入防止対策を実施。
ほ場で農産物を収穫、梱包作業をし、直ちに出荷先に運搬、納品しない場合、ほとんどの農場には農産物取扱施設・設備があります。 農産物を一時的に保管する冷蔵庫、風乾やキュアリングを行う倉庫、トリミングや選別… 「続きを読む」
喫煙・飲食場所の指定、農場内の農産物に共通する工程の確認等により、異物混入やアレルゲンと農産物の交差汚染の防止対策を実施。
喫煙や飲食による農産物への異物混入や汚染を防ぐ必要があります。 喫煙場所の指定や分煙は、労働者の健康保護の観点からも重要です。 農産物取扱施設に食べかすが落ちていると虫や小動物、鳥類を誘引してしまい、… 「続きを読む」
農産物を適切に保管、貯蔵し、調製・出荷作業場、保管・貯蔵施設など全ての農産物取扱施設における衛生管理を実施。
農産物を衛生的に保つためには、作業員に由来する汚染だけでなく、農場内に存在する施設、設備、器具等に由来する汚染も防がなければなりません。 農産物の保管、貯蔵、出荷作業(待機)する場所は、人がいない状態… 「続きを読む」