経営体制全体【4】(4)

取組事項

本ガイドラインに沿った農場の管理を実施するため、農場のルールの決定、ルールに基づく運営、実施状況の確認、必要に応じた見直しを実施。

解説

農場を持続可能にするためには、本ガイドラインの項目を実践し、農場運営の方針を実現するための組織体制、仕組みやルールづくりを行うことが必要です。

GAP に取り組む農場では、本ガイドラインに準じて、農場運営の方針の策定 → 組織体制の整備 → 農場のルールづくり → ルールの実践 → 実行の記録 → ルール、記録とその効果の検証 → 組織体制/農場ルールの見直し・・・のサイクルを繰り返すことで、より良い農場、つまり農場運営の方針に近づくことができます。

このサイクルこそ、組織=農場のマネジメントシステムです。

方針を達成するため計画(Plan)を立て、実践(Do)し、結果を検証(Check)して、次の活用のために改善(Act)する(=PDCA サイクル)活動です。

このような手法は、ISO 9000(品質マネジメントシステム)や ISO 22000(食品安全マネジメントシステム)などで取り入れられており、GAP においてもこの仕組みが備えられています。

計画(Plan)に相当するのが手順書(農場のルール)であり、手順書に従い作業を実施・記録(Do)し、自己点検・内部監査で記録を検証(Check)した上で、不適合の是正・改善(Act)を図ります。

こうした活動を通じ、農場のルール、農場の管理体制を整備・確立し、持続可能な農場経営を実現します。

なお、農林水産省では、農業経営の法人化、事業計画の作成、規模拡大など経営上の課題に対する経営相談の支援を行っており、都道府県段階に「農業経営支援センター(令和3年度までは「農業経営相談所」)」を整備しているので、農業経営の改善に活用してください。

具体例と想定される対策

番号

4-1

【具体例】

曖昧なルールにより様々な事故や品質のばらつきが発生。

【想定される対策】

分かりやすい作業手順書を作成する。
作業手順を周知する。
手順通り作業しているか点検する。

番号

4-2

【具体例】

残留農薬基準に違反する農産物を出荷。

【想定される対策】

農薬使用基準を遵守した農薬使用計画を策定する。
農薬使用計画の実践のための指示、命令系統を構築する。
イレギュラー時の対応方法を策定する。
計画を周知する。
計画の実践、実行を検証する。

番号

4-3

【具体例】

食品衛生法違反による、食品安全に疑いのある農産物を出荷。

【想定される対策】

病原性微生物を付着させないための手洗い、増殖させないための冷蔵保管等を農場のルールとして定める。
硬質異物を混入させないため農場内への持込み制限、出荷検品等の手順を定める。
手順通り実践したことを記録する。

番号

4-4

【具体例】

食品表示法に係る確認漏れにより、不適切な表示をして出荷。

【想定される対策】

食品表示法及び食品表示基準の確認方法を定める。
確認したことを記録する。

番号

4-5

【具体例】

廃棄物の処分方法を定めていないため、不適切な処分が発生。

【想定される対策】

廃棄物の種類を分け、種類ごとに適切な処分方法を確認し、処分方法等をルール化する。

番号

4-6

【具体例】

作業条件のルールが定められておらず、作業者に体調不良が発生。

【想定される対策】

作業環境や労働時間等を定める。
作業環境、条件を記録する。

番号

4-7

【具体例】

機械の操作方法を定めていないため、未熟な作業者が操作し、労働災害が発生。

【想定される対策】

機械、設備の操作方法等を定める。
作業者への教育、訓練を実施する。
点検、操作の実施を記録する。

番号

4-8

【具体例】

抜本的に改善が必要なルールを放置し、同種の事故が発生。

【想定される対策】

各業務範囲における責任者を定め報告体制を構築する。
自己点検結果やクレーム・食品事故の発生の有無、労働災害・怪我の発生の有無などを確認し、改善事項を決定し実行する。
改善に必要な投資を決定する。

区分

Ⅰ経営体制全体

農業生産工程段階

全般

品目

共通

分野

農場経営管理

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