経営資源【6】(30)

取組事項

使用する水の水源を確認し、水に含まれる危害要因による農産物の安全性に関する評価と、評価結果に基づく対策を実施。

解説

農産物にとって、水は生育に大きな影響を及ぼします。栽培中に使用する水の汚染は生育不良や農産物の汚染の原因にもなります。
また、収穫後に使用する水が汚染されていると、消費者の健康被害に直接つながる可能性があります。
水に含まれる危害要因とその危害要因による農産物の汚染の可能性を検討する際には、水源が何か、水源の周辺に水を汚染する可能性のある施設等がないか、どのように使用する(散布、土壌かん注、洗浄、手洗い等)水なのか、いつ使用するのか、水に含まれる危害要因が農産物に吸収され可食部に蓄積するのかといったことを確認します。
大雨、洪水、噴火などの自然災害によって、水源が有害な化学物質や微生物によって一時的に汚染される可能性もありますので、水質に影響する災害が発生した際には、都道府県の普及指導員や農業試験場などの助言、協力も得つつ、用水の検査などを実施し、生産される農産物の安全性を評価します。
栽培時のかん水に使う水と農産物の洗浄に使う水では、洗浄水の方がより安全性に気を付ける必要があります。
また、栽培に使う水でも、株元や土壌へのかん水と、生で食べられる野菜(収穫部位)に対する収穫 1 週間以内の潅水や薬剤散布に使われる水では、収穫部位にかかる水の方がより安全性に気を付ける必要があります。
このように、どの時期に、どの場所で、どのように使用するのかによって、求められる水の安全性のレベルは異なります。
収穫後に使用する水(農産物の洗浄水、容器の洗浄水、氷詰め出荷用の氷の生産、等)は農産物汚染を防ぐため水道水等の飲用に適する水を使用します。
井戸水や湧水など水道水以外を使用する場合は、水質検査で安全性を確認した水または消毒した水を使用します。
水をためて、農産物等を洗浄する場合には、水をかけ流す、定期的に全交換するなどして、汚染が広がらないように注意します。
農産物を水拭きする場合も、汚染が広がらないように布巾等を交換、再洗浄等を行って、適切な水質を維持します。
霧吹きなどの水についても同様です。
洗浄水を再利用する場合、ろ過・消毒・殺菌処理を行うなどの汚染防止対策を検討します。
水の放射性物質汚染に関し、行政の調査結果を参考に自らが使用している水源について安全性の検討を行います。
検討の結果、リスクが高いと判断された場合、使用する水を水道水等に変更する、行政に相談するなどの対策を取ります。
きのこ類は、水の中の重金属類(鉛、カドミウム、水銀、ヒ素)を吸収しやすいという研究結果があります。
きのこの種類によって吸収した重金属類の濃縮傾向は異なりますが、可能な限り重金属類を吸収しないように対策を講じます。
使用する水の重金属類の含有量を確認し、飲用に適する水質であることを確認します。

具体例と想定される対策

番号

30-1

【具体例】

栽培中の農産物(収穫部位)に対し、安全性を確認していない水を使用し、収穫後の農産物に有害微生物が残存。

【想定される対策】

使用前に水の濁りや異臭がないことを確認する。
これらに異常があれば、異常のある間は使わない。
特に、生で食べられる野菜(収穫部位)に対し、収穫 1 週間以内に灌水や薬剤散布する場合には、水質検査で安全性を確認(大腸菌が 100 個/100ml 以内が目安)した水、飲用に適する水又は消毒した水を使用するよう努める。
やむを得ず、こうした検査や消毒がされていない水を使う場合には、できるだけ収穫まで日を空ける。

番号

30-2

【具体例】

農産物を洗う水(切口の洗浄や表面の拭取りに使用する水を含む)が、病原性微生物に汚染されることで、農産物の汚染が発生。

【想定される対策】

水源を確認し、水道水以外の場合は水質検査を行う。
飲用可能なレベルであることを維持する。
飲用可能なレベルを維持できない場合は、水道水への切替えや消毒を実施する。

番号

30-3

【具体例】

重金属類を多く含む水のかん水、浸漬により、きのこに重金属類の蓄積が発生。

【想定される対策】

水質検査を実施し、重金属類の含有量を把握する。
重金属類を含まない、含有量の少ない水を使用する。

番号

30-4

【具体例】

おが粉を洗浄、浸漬する井戸水が含有する重金属類を把握せず、培地に重金属類が含まれ、きのこに蓄積が発生。

【想定される対策】

水質検査を実施し、重金属類の含有量を把握する。
重金属類を含まない、含有量の少ない水を使用する。

区分

Ⅴ経営資源

農業生産工程段階

栽培

調製

品目

共通

分野

食品安全

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