経営体制全体【1】(1)

取組事項

農場経営に必要な基本情報(栽培品目名、ほ場(きのこ類の場合は、ほだ場。以下、同じ)や施設の名称・所在地等)を明確にして、整理し、必要に応じて文書化。

解説

GAP は、どのように農場を管理しているかを「見える化」し、管理を適切に実践して持続可能な農業経営を行うとともに、その内容を文書化や記録することにより顧客や地域住民に説明責任を果たすための道具です。
また、農場のルールを文書化することで、従業員の教育・訓練を確実なものとします。
その「見える化」の第一歩として、農場の基本的な情報を把握し、GAP で管理する範囲=適用範囲を明確にします。適用範囲には、出荷する商品(品目)とその仕様、生産工程(外部委託を含む)、ほ場、倉庫・作業所等の施設・設備・器具の情報を含みます。
これらの情報は、商品仕様書(意図したユーザー、喫食方法、出荷形態等)、生産工程フロー図(栽培、収穫、農産物取扱等)、ほ場地図や施設のレイアウト等を作成することで把握し、明確にします。
これらの情報を十分に把握することにより、生産環境や生産工程に潜む食品安全、環境保全、労働安全に関する様々なリスクを推定することができ、そのリスクの大きさの評価とリスクに応じた農場管理のルールの確立が可能となります。

具体例と想定される対策

番号

1-1

【具体例】

ほ場・施設のリストの不備によりリスク評価対象に漏れが生じ、リスク評価ができずに事故が発生。

【想定される対策】

現場と照合しながらほ場・施設のリストを作成する。
栽培の準備から出荷完了まで、時系列の順で使用する場所を把握し、ほ場・施設のリストを作成する。

番号

1-2

【具体例】

ほ場・施設の地図の不備により、周囲の状況の把握が不十分になり、事故が発生。

【想定される対策】

ほ場・施設のリストに基づき、全てのほ場・施設の地図を作成する。
地図により、周辺の状況を把握する。

番号

1-3

【具体例】

農産物の搬送経路が把握できず、汚染リスクの検討に漏れが生じ、汚染事故が発生。

【想定される対策】

ほ場から農産物取扱施設までの搬送経路を明らかにする。
周囲にどのような汚染リスクがあるか抽出、把握する。

番号

1-4

【具体例】

地図の不備により、事故発生時に現場や現状の把握が不十分になり、正確な情報の伝達ができず、対応に遅れが発生。

【想定される対策】

地図にほ場や自宅、施設の位置を明確にする。
目印や通称を決め、作業者全員に周知する。
ほ場・施設のリストと、ほ場・倉庫の地図を照合する。
ほ場・設備のリストと、栽培や収穫、出荷の記録を関連付ける。

番号

1-5

【具体例】

他者が関与しやすい場所、物品等の把握が不十分で、盗難による事故が発生。

【想定される対策】

地図にほ場や自宅、倉庫の位置を明確にする。
人が通りやすい場所、逆に人目に付きにくい場
所を把握する。
人通りの多い、人目に付かない場所の巡回や監
視を行う方法を検討する。

番号

1-6

【具体例】

他者が関与しやすい場所、物品等の把握が不十分で、意図的な妨害による食品安全上の事故が発生。

【想定される対策】

地図にほ場や自宅、倉庫の位置を明確にする。
人が通りやすい場所、逆に人目に付きにくい場所を把握する。
人通りの多い、人目に付かない場所の巡回や監視を行う方法を検討する。

番号

1-7

【具体例】

生産工程の特定が不十分で、リスク評価の対象に漏れが生じ、事故が発生。

【想定される対策】

栽培工程、収穫工程、農産物取扱工程について実際に作業を行ってみて、検討した作業工程(作業者の作業手順、使用する機械・道具・容器類)が正しいか検証する。

番号

1-8

【具体例】

意図する喫食方法の把握不足により、リスク評価が不十分で、事故が発生。

【想定される対策】

出荷する商品がどのようなユーザーにどのような喫食方法で消費されるかを適切に把握する。

区分

Ⅰ経営体制全体

農業生産工程段階

全般

品目

共通

分野

農場経営管理

PAGE TOP